2.悲惨な「がん」、口腔がん

 口腔がんは、がんの中で自殺率No.1 のがんとも言われています。その理由は「術後」にあります。

 口腔がんの進行段階は、図5のように5段階(T1~T4:4が一番悪い段階、T2がEarly T2とLate T2に分かれるので5段階)に分かれますが、その第2段階まで(Early T2まで)の早期に発見できれば、手術は部分切除で済むことが多く、費用も20万円程度で済みます。

 従って、見た目も、話し方も、味覚も、ほぼ術前と変わらない状態を維持できます。

 一方、第3段階(Late T2)を超えると、がん部分をすべて切除するために切除部分は拡大し、再建(他の部分から皮膚を移植し整えること)を要し、多額の費用がかかってしまいます。

図5

 口腔がんの約60%が舌がんです。舌にできる「がん」のことですが、この場合、舌のかなりの部分(例えば、右半分)を切除することになります。ゆえに、その右半分を皮弁(移植で再建)することになります。

 しかし、再建により形は整えられても、舌は自分の思うようには動きませんので、リハビリを行ったとしても、多くの場合、会話に障害が残ってしまいます。また、味覚も失うことになります。さらには、再建した部分から毛が生えてくることもあり、そのメンテンナスも必要になります。

 骨組織や軟組織への発症であれば、顎の切除、頬肉の切除の施術を行うことになりますので、外見の変形が伴うことになるのです。

 このように、口腔がんは発見が遅れることにより、術後の生活(QOL:Quality Of Life)が大きく損なわれることになり、結果、外出拒否となったり、最悪のケースでは自らの命を絶つようなことになり兼ねないのです(自殺率が非常に高いがんと言われる理由)。

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