3.「口腔がん検診」は、いつ、どこで、受けられるの?

図6 日本における男女別がん検診受診率(46歳~69歳)の推移

 では、なぜ、早期発見ができないのでしょうか?

 答えは簡単です。口腔がんを定期検査する仕組みが日本には普及していないからです。

 そもそも日本においては、(からだの)がん検診率そのものが低く、厚労省が毎年のように「50%受診」の促進キャンペーンを開催しているにもかかわらず、まだ目標に到達していないような状況です。(図6)

 口腔がん検診においては尚更です。受診数の数値すら捉えられていない状況なのです。

 では、一体誰が口の中のがん(口腔内のがん)を早期発見する役割にあるのでしょうか?

そうなのです。それ(口腔がんを早期発見する役割)は口腔内を診療する専門医である歯科医師や人間ドックや健康診断を行っている機関の役割なのです。

これまで多くの方に「口腔がん検診の経験がありますか?」とお聞きしていますが、「はい、受けたことがあります。」と答えた方は、今現在も非常に数少なく、この運動を開始した3年前には、どなたもいらっしゃいませんでしたし、その存在(口腔がん・口腔がん検診というもの)を知る人も皆無の状況でした。

 当時、主治歯科医がいるとおっしゃった経営者の方に「行きつけの歯科医院で口腔がんの検診を受診したことがありますか?」と質問をしたところ、「えっ?口腔がん?」と、まずそういうがんがあるのか?という顔でお答えになり、次にはなんと、「歯医者が、がん検診などをしていいのですか?、医師の領域を侵すことになるのでは?、法律違反ではないのですか?」とおっしゃられました。しかも、この方は、ある著名な出版会社の経営者です。つまり、日本有数の知識人であるにもかかわらず、ご存知なかったという訳です。

 まさに、このことが明確に物語っています。日本では、誰も口腔がんを知らず、従って、その検診を受ける必要があることも、誰も知らないのです。

 それゆえ、目に見えるがんであり、且つ、国民の年平均の歯科医院通院機会が約3回もあるにもかかわらず(歯科新聞社データから)、死亡率46.1%の現実があるのです。

 もし、コンビニの数(約5.4万軒:2015年データ)よりも多くある全国約7万軒の歯科医院と人間ドック及び健康診断機関が、その役割を果たすことができれば、米国以下の死亡率になることも不可能ではないと考えます。 

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