はじめに


『歯科医院で救える、助かる、命がある』
 
 皆様、はじめまして、一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 代表理事の柴原孝彦(しばはらたかひこ)でございます。

 皆様は、あまりご存じないとは思いますが、口の中にできるがんである「口腔がん」の日本における死亡率は、がん全28部位中で「46.1%(第10位)」に位置しており(P6参照)、なんと、米国(19.1%)の2.5倍以上の死亡率なのです。

 そして、その「口腔がん」は、進行がんの状態になりますと手術治療を行い、舌や頰、顎の一部もしくは全部を切除することになります。
 従って、術後のQOL(Qualify Of Life : 術後の社会生活レベル)の著しい低下(P8参照)から「自殺率の非常に高いがん」であると言われており、WHO(世界保健機構)からも「早期発見・早期治療」の推進が世界中に勧告されている最重要課題の1つでもあります。

 しかしながら、そのような中、日本は、先進国で唯一、死亡数が増加している国であり、我々、患者さんの口腔を担う医療機関・医療人として、口腔がんの罹患数(りかん数:口腔がんにかかる方の数)、死亡数、そして、死亡率の大幅低減は急務な課題と言えます。(P7参照

 一方、歯科先進国の1つである米国では、2000年頃から開業歯科医院にて「口腔がん」を早期発見する仕組みが出来上がっており、口腔がんの罹患数は日本の3倍にも関わらず、死亡数は日本と同等数レベル、死亡率においては前述の通り、半分以下となっている程、口腔がんの早期発見及び早期治療体制が構築されています。

 そのような中、私たち一般社団法人口腔がん撲滅委員会は、この重要課題を改善すべく、

 1. 日常通院する全国各地域のかかりつけの歯科医院で口腔がんを早期の段階で発見するための仕組みを構築すること。

 2. 疑わしい病状(前がん状態:がんになる前の段階口腔潜在性悪性腫瘍の段階)を発見した場合、スピーディーに専門機関(大学病院口腔外科等)と連携・紹介するための仕組みを構築すること。

 3. 日常的な歯科・口腔治療の中で、がん化する可能性のある口腔内の問題点を早期に排除(治療)すること。(P15参照

を推進してまいります。

 また、同時に、様々な広報手段を活用し、国民の皆様に「口腔がん」の怖さを広く知っていただき、異変を感じた場合は早期に、そして、定期的に「口腔がん検診」を受診していただくことを定着させることにも合わせて取り組んでいきたいと思います。

 もし、全国各地域の歯科医院で「口腔がん」の早期発見の仕組みと「口腔がん検診」の受診が定着し、日本において米国並みに早期発見・早期治療の仕組みを構築することができれば、年間で約5,000人規模の口腔がん死亡者の命を救うことが可能となるのです。
(※参考:2016年の全国交通事故死亡数が「3,904人」であり、その人全員を救えるくらいの規模である事実)

 つきましては、歯科医療関係者の皆様、そして、日本国民の皆様、ぜひ、本活動の趣旨にご賛同いただき「口腔がん撲滅運動」の推進にお力添えいただけることを希求してやみません。

 ぜひ、皆様お一人お一人の胸元に「口腔がん撲滅運動」の象徴であるレッド&ホワイトリボンをお着けください。皆様のご参画を心よりお待ち申し上げます。

2017年4月吉日

一般社団法人口腔がん撲滅委員会
代表理事 東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 主任教授 署名
(東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 主任教授)
東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 主任教授