2015年6月12日

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)での観察像

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)から照射された青色光は、本機を通して観察すると緑色にみえます。
健常細胞は青緑色にみえ、細胞の異形性を伴う部分は暗色にみえます。
健常細胞は青色の照射光を反射し、光の消失がないことからFVR(Fluorescence Visualization Retention)とよばれ、異形性細胞は青色の照射光を吸収してしまい、光が消失することからFVL(Fluorescence Visualization Loss)とよばれます。
⇒詳しくはこちら

・正常像
・白板症
・口腔がん・ベルスコープが有用だった症例
・扁平苔癬
・アフタ性口内炎
・血管腫(血腫含む)
・外傷による炎症
・特徴のある観察像


症例提供:東京歯科大学様

正常像

VELscope 健常口腔粘膜.jpg
VELscope 正常な血管.jpg


白板症(上皮異形性を伴わない症例)

VELscope 白板症3-1.jpg

口腔がん

VELscope 口腔がん.jpg

扁平上皮がん

VELscope 扁平上皮癌1.jpg

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)が有用だった症例

有用症例.jpg

扁平苔癬

001.jpg

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎
VELscope アフタ性口内炎1-1.jpg

血管腫(血腫含む)

血腫VELscope 血腫.jpg
血腫を口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)で観察すると、FVLとして観察できます。
これは血液中のヘモグロビンの作用により、青色の照射光の散乱が起こり反射しないためFVLとなります。

外傷による炎症

咬傷VELscope 咬傷.jpg
外傷による炎症の場合、外傷によりコラーゲン架橋構造が破壊されることに加え、出血を伴うことでヘモグロビンの作用によりFVLが確認されます。

特徴のある観察像

オレンジ色の蛍光発色舌苔 line.jpg
舌背などのポリフィリンが豊富に存在する部分は症例の様にオレンジ色の蛍光発光をします。もし視診時に異常を認め、患部にオレンジ色の蛍光発光が起こり判別が困難な場合は、口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)での観察と合わせて細胞診等を実施してください。

2015年6月10日

レッド&ホワイトリボン

乳がん検診の早期受診を啓発するシンボルとして「ピンクリボン」というものがあります。近年ではこのピンクリボンに協賛する大手企業が増えてきているので、一度は目にしたことや耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

口腔がん撲滅運動を実施している団体ではレッド&ホワイトリボンを掲げています。

これは口腔がんに対する正しい知識を世に浸透させ、口腔がんの早期発見と検診の受診を促進させる目的として米国でも広まっているシンボルです。
東京都玉川歯科医師会を中心に、口腔がんの撲滅運動に賛同する歯科医院やドクターがこの赤と白のリボンを掲げています。

ribbon.jpg

なぜ赤色と白色なのか
口腔がんと判別するうえでひとつの目印となるのが炎症です。そのなかでも白い部分と赤い部分が混在する炎症は特に注意が必要とされ、炎症部分が隆起しているものや、しこりのような硬さのあるものは医師の診察が必要とされています。

そのような目印の一つとして認識してもらうためにも、赤と白のリボンになったとのことです。

このレッド&ホワイトリボンを掲げているドクターにお会いした際には、ぜひ積極的に口腔がんのことについて聞いてみてください。


レッド&ホワイトリボンを携えて口腔がん撲滅運動に参加しませんか?

ピンバッジ
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン
ステッカー
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン

ribbon.jpg

2015年6月 2日

口腔内蛍光観察装置VELscope®Vx(ベルスコープ)とは

研究開始から20年の世界標準の口腔内蛍光観察装置。
積み上げられた実績は世界で約2,500万以上の症例数。
日本で正式な医療機器として届出!

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)とは、口腔内を観察する蛍光観察装置です。

口腔内の情報を400nm~460nmの青色光を照射してモニターに映し出します。それによって医師は口腔内粘膜に異形成の疑いがあるかどうか観察します。

2008年に販売が開始され、すでにアメリカ(FDA510(k))やカナダ(Health Canada)では医療機器として認可を受けており口腔内を観察する機器として使用されています。

日本では、2015年3月に医療機器として届出をしました。
一般医療機器 届出番号:13B1X10181000046

Velscope_Group_Product_Shot.jpg

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)の特徴

仕様

●コードレスでコンパクトなデザイン
  • 充電式であり、持ち運びが可能なため電源の無い場所でも使用が可能。
  • フル充電時での連続照射可能時間はおよそ15分程度。
  • 電源のダイレクト接続も可能なので、15分を超える連続使用も可能です。
VELscope 特徴1.jpg

●簡単操作
  • ボタン1つで観察できます。

●最も優れた蛍光可視化技術
  • シンプルなプロトコル
  • 通常の(白色照明下で行われる触診による)口腔軟組織観察の補助装置として使用
  • 短時間の検査で操作も簡単
  • 痛みは全くなし
  • 容易にフォトドキュメンテーションが可能(カメラ付き)

●使い捨て保護キャップ、保護シートも用意
  • 保護キャップ:レンズを保護します。
  • 保護シート :ハンドピースとカメラを保護します。

●写真撮影が可能
  • 本機にデジタルカメラを装着することが可能なため、ドクターの見ているそのままの状態を写真で記録することが可能。
  • 撮影写真はデータとして記録出来るため、通常の口腔内写真と簡単に比較することが可能。

実績

●世界での導入件数
北米を中心に多数の導入がされており、
12,000名以上の医師が使用しています。

●症例数
世界での症例数は2,500万件以上にのぼります。

北米診療.jpg

非侵襲性

●光を照射するだけの非侵襲性の観察
口腔粘膜の検査方法(もしくは観察方法)はヨード染色や細胞診、組織診などさまざまありますが、それらと比較し患部に直接触れないため、患者さまにほとんど負担をかけることなく検査(観察)を行うことが可能です。

口腔粘膜異常を観察する医療機器

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、以下のような口腔粘膜異常を観察するための優れた医療機器です。

  • ウイルス、真菌、及び細菌感染
  • 様々な原因によって引き起こされる炎症(扁平苔癬、苔癬型反応、アマルガムアレルギー等)
  • 扁平上皮乳頭腫
  • 唾液線腫瘍
  • がんと前がん

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、染色や時間のかかる観察手順を必要としません。歯科医院で(白色灯下で)短時間で観察することができます。口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、世界23カ国で13,000名以上の医師が使用しており、2,500万件以上の実績があります。(LED Dentalのホームページより)

組織蛍光発光可視化技術を使った口腔内スクリーニング装置として、グローバル規模で支持を受けています。

VELscope®Vx

病変描出の仕組み

口腔内蛍光観察装置で口腔内に青色光を照射し、その反射光によって組織の異形成の有無を観察します。
上皮異形成組織や炎症は青色光を反射することなく、光を吸収してしまうため暗色として見えます。これをFVL(蛍光可視の消失)と呼びます。

上皮異形成組織や炎症においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、炎症の浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

描出図 300.jpg

健康な細胞にはFAD補酵素が存在し、このFAD補酵素が蛍光物質であると考えられていますが、上皮異形性やがん細胞においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。

また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、がんの浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

参考表
●正常細胞→青緑色に見える(蛍光可視の保持)=FVR(Fluorescence Visualization Retention)
●異常細胞→暗色に見える(蛍光可視の消失) =FVL(Fluorescence Visualization Loss)

深達度

北米の報告によると、口腔内蛍光観察装置は、肉眼では判別が難しい粘膜異常の確認などには非常に有効である事が確認されていますが、照射される青色光が到達する深度はおよそ3~4mmまでであるとされています。
(※炎症の状態により深達度には若干の変動が生じます)

そのため、顎骨の異常や、厚い白板で覆われた部位などは青色光が到達しないため蛍光に変化は認められないことが報告されています。

collagen cross-links.jpg

*LED Dental Inc.が作成した操作説明書を監修


波長.jpg

口腔内蛍光観察装置について

口腔がん検診・口腔健診とは

皆様はお口の中できる"口腔がん"をご存知でしょうか。
日本では毎年3,000人を超える方が口腔がんによって命を落としています。

「ただの口内炎だと思っていた」
「痛みがないので放っておいた」

などの理由から発見が遅れた結果、手遅れになるケースが非常に多いのが現状です。
しかし、口腔がんは早期発見・治療ができれば命を落とすケースは少ないのです。

口腔がん検診では、患者さんのお口の中を隅々までチェックします。
そして、写真を使って作成した報告書を患者さんへお渡し、ご自身の目でお口の中を確認していただきます。
お口の中をすべてチェックすることにより、本人が自覚できない病変等を見つけることが可能です。

また、口腔がんは発見が遅れると患部を大幅に切除する必要があり、そういったケースでは発音や発声に障害が残ってしまうことが多くあります。
しかし、早期発見・治療できれば切除範囲はごくわずかのため、発音や発声に障害は残らない場合が多いのです。

口腔がんは慢性的な刺激が要因で発生する場合が多く、発症してしまう前にその要因を発見し取り除くことが重要です。

定期的に検査をし、わずかな変化を見逃さないことで、口腔がんの早期発見と治療を実現します。
ぜひ毎年の検診をお受けください。

口腔がん検診・口腔健診

日米の歯科医師の収入格差

米国の歯科医師の平均年収は1位:外科医(約2,000万円)、2位:CEO(約1,900万円)に続き、
約1800万円
を超えるそうですが、(U.S.News"2013年調査資料より当時のレートで算出")
日本の歯科医師の平均年収はなんと621万円(平成25年厚生労働省調査)で、米国のおよそ3分の1しかないことがわかっています。

もちろん保険制度の違いなどもありますが、問題はそれだけではありません。

収入格差

日本の歯科医師は米国の9倍働いている?

日米診療数300 180.jpg
米国に比べ、日本は一医院あたりの患者数が約3倍との調査結果が出ています。(OECD Health Data 2009.調査)
日本の歯科医師は米国よりも、3倍の患者さんを診ているにも関わらず、収入は3分の1ということになり、米国の歯科医師レベルの収入を得ようとすると今よりも9倍働く必要があるという計算になります。

米国は予防。日本は治療。

米国の歯科医院受診理由の約82%は「予防」のため(『American Dental Association』1994より算出)であるのに対して 、日本での歯科医院受診理由は、約88%が「治療」のため(厚生労働省『保健動向調査』1999年より算出)であるという事実があることからも、まだまだ歯科医療の先進国とではの意識の差があると言わざるを得ません。
日米通院事情 977 646トリミング.jpg

2015年6月 1日

口腔がん検診・口腔健診の内容

口腔がん検診
口腔がんの早期発見や、異形成段階(がんになる前の状態)を早期発見し治療するために、お口の中をチェック(検診)します。

口腔健診
お口の中の口腔がんになる可能性のある要素(原因)をチェック (健診)します。
また、医院により、歯周病検査や唾液検査(口腔内細菌検査)などをオプションで行うことにより、お口の中を総合チェック(健診)します。

口腔がんの主な原因(症例から)
・生活習慣(喫煙、飲酒等)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・う蝕(虫歯)・歯周病、詰め物・被せ物不適
・舌小帯付着異常(舌の裏の紐のような部分が短い方は要注意)
・アマルガム(金属の詰め物)
・口内炎(10日くらい経過しても治らない場合は要注意)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・HPV(ウィルス)、など

口腔がん検診の重要性
日本は、世界の先進国の中で、唯一、口腔がんの死亡数が激増している国!ということをご存知でしたか?
(※日本での口腔がん患者の死亡率は「35.5%」と米国(19.8%)の約1.7倍です!)

口腔がんは、悲惨な「がん」です。手術になれば、舌・顎・頬の一部、もしくは、大部分を切除せざるを得ず、その結果、口の機能に大きな障害を持つことになります。

通常、がんになるまでには5年~10年はかかりますので、
最低でも1年に1回、「口腔がん検診」を受診し、早期発見・前がん状態での治療を心がけてください。

口腔がん検診の基本的な流れ

1.問診票の入力(記入) (5分)
口腔がんになる要素がどれくらいあるか?生活習慣についてご入力(ご記入)いただきます。

問診票の記入


次

2-1.視診・触診・写真撮影(5分)
視診:お口の中の異常がないかを目で確認します。
触診:ゴム手袋を付けた指で触り、しこりや盛り上がっているところがないかを調べます。

異常を発見した場合、お口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

オーラルナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


2-2.口腔内蛍光観察装置を使った観察・写真撮影 (5分)
口腔内蛍光観察装置でお口の中に青色光を当てて、異常がないか観察をします。
そのままお口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

ナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


次

3.報告書を元にカウンセリング (5~10分程度)
結果を報告書にまとめ、それを元に口腔内の現状に関しカウンセリングを行います。
口腔内に関し、歯科医師から指摘を受けた場合は、速やかに口腔内の治療や改善を行ってください。

問診票の記入


次

問題なし
継続して、最低でも年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう。

何らかの異常があった場合
歯科医師の指示に基づき、治療を開始してください。 大学病院等を紹介する場合もあります。


費用

各医院ごとに検診内容が異なりますが、費用の範囲は「5,000円~10,000円」くらいです。
実際の費用は、各医院にお問い合わせください。

口腔がん検診・口腔健診

年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう