口腔がんの患者さんと真摯に向き合うために

●手術の前に伝えておくべきこと
口腔がんに限らず、どのような手術でも患者さんの多くは不安を抱えています。口腔がんでは手術部位や範囲によって機能障害が残る場合がありますが、手術が終わってから、ようやく機能障害に対するリハビリ方法を伝えられるのは酷です。術前から、舌の運動訓練、呼吸訓練、排痰訓練などを行いましょう。

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●術前に大切な口腔ケア
口腔がんの発見から手術まで、およそ2週間くらいです。術前に歯科医院でクリーニングなどの口腔ケアを行い、患者さんにも口腔内を清潔にするよう指導してください。これによって、術後の合併症リスクを減少させることができます。

●術前にできる評価
口腔機能の評価を行うことで、術後の機能障害の程度や回復の予測が可能となります。評価は術後も引き続き行い、口腔機能ばかりでなくQOLも併せて評価しましょう。

●術後の口腔ケア
口腔内を清潔に保つことは、感染予防と嚥下性肺炎の防止につながります。

●連携によって患者さんのQOLを高める
機能障害に対する治療を行う場合、患者さんの状態の記録、障害の予測、リハビリテーションが必要です。そのためには、歯科医師だけでなく、歯科衛生士、歯科技工士、看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、心理療法士、栄養管理士、臨床検査技師、診療放射線技師などの連携による医療が、患者さんのQOLを高める役割を果たします。

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たとえば舌がんで舌の半分以上を切除し、腹部などの筋肉で再建を行った場合。見た目は舌の形をしていますが、神経がつながっていないので自在に動かすことができません。そのため上手に発音できず、ロレツが回らない状態となります。再びコミュニケーションがとれるようになるには、言語聴覚士による発音の訓練が欠かせません。食事に関しては、すぐに固形物が食べられない、または食べられるものが限られる場合は、健康維持のための栄養管理士による食事に対する適切なアドバイスが必要です。

時には不自由な生活が続いて、メンタルに影響を及ぼすことがあるかもしれません。その際は心理療法士が患者さんのお話にじっくりと耳を傾け、適切なケアを行う必要があります。ほかにも下顎骨欠損、上顎骨欠損といった場合の顎顔面補綴治療では、歯科技工士の高い技術が要求されます。

このように、口腔がん治療の連携のネットワークをますます充実させることが、今後の大きなテーマとなってくるでしょう。