2015年6月 2日

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)の特徴

仕様

●コードレスでコンパクトなデザイン
  • 充電式であり、持ち運びが可能なため電源の無い場所でも使用が可能。
  • フル充電時での連続照射可能時間はおよそ15分程度。
  • 電源のダイレクト接続も可能なので、15分を超える連続使用も可能です。
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●簡単操作
  • ボタン1つで観察できます。

●最も優れた蛍光可視化技術
  • シンプルなプロトコル
  • 通常の(白色照明下で行われる触診による)口腔軟組織観察の補助装置として使用
  • 短時間の検査で操作も簡単
  • 痛みは全くなし
  • 容易にフォトドキュメンテーションが可能(カメラ付き)

●使い捨て保護キャップ、保護シートも用意
  • 保護キャップ:レンズを保護します。
  • 保護シート :ハンドピースとカメラを保護します。

●写真撮影が可能
  • 本機にデジタルカメラを装着することが可能なため、ドクターの見ているそのままの状態を写真で記録することが可能。
  • 撮影写真はデータとして記録出来るため、通常の口腔内写真と簡単に比較することが可能。

実績

●世界での導入件数
北米を中心に多数の導入がされており、
12,000名以上の医師が使用しています。

●症例数
世界での症例数は2,500万件以上にのぼります。

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非侵襲性

●光を照射するだけの非侵襲性の観察
口腔粘膜の検査方法(もしくは観察方法)はヨード染色や細胞診、組織診などさまざまありますが、それらと比較し患部に直接触れないため、患者さまにほとんど負担をかけることなく検査(観察)を行うことが可能です。

口腔内蛍光観察装置VELscope®Vx(ベルスコープ)とは

研究開始から20年の世界標準の口腔内蛍光観察装置。
積み上げられた実績は世界で約2,500万以上の症例数。
日本で正式な医療機器として届出!

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)とは、口腔内を観察する蛍光観察装置です。

口腔内の情報を400nm~460nmの青色光を照射してモニターに映し出します。それによって医師は口腔内粘膜に異形成の疑いがあるかどうか観察します。

2008年に販売が開始され、すでにアメリカ(FDA510(k))やカナダ(Health Canada)では医療機器として認可を受けており口腔内を観察する機器として使用されています。

日本では、2015年3月に医療機器として届出をしました。
一般医療機器 届出番号:13B1X10181000046

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口腔粘膜異常を観察する医療機器

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、以下のような口腔粘膜異常を観察するための優れた医療機器です。

  • ウイルス、真菌、及び細菌感染
  • 様々な原因によって引き起こされる炎症(扁平苔癬、苔癬型反応、アマルガムアレルギー等)
  • 扁平上皮乳頭腫
  • 唾液線腫瘍
  • がんと前がん

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、染色や時間のかかる観察手順を必要としません。歯科医院で(白色灯下で)短時間で観察することができます。口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、世界23カ国で13,000名以上の医師が使用しており、2,500万件以上の実績があります。(LED Dentalのホームページより)

組織蛍光発光可視化技術を使った口腔内スクリーニング装置として、グローバル規模で支持を受けています。

VELscope®Vx

病変描出の仕組み

口腔内蛍光観察装置で口腔内に青色光を照射し、その反射光によって組織の異形成の有無を観察します。
上皮異形成組織や炎症は青色光を反射することなく、光を吸収してしまうため暗色として見えます。これをFVL(蛍光可視の消失)と呼びます。

上皮異形成組織や炎症においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、炎症の浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

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健康な細胞にはFAD補酵素が存在し、このFAD補酵素が蛍光物質であると考えられていますが、上皮異形性やがん細胞においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。

また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、がんの浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

参考表
●正常細胞→青緑色に見える(蛍光可視の保持)=FVR(Fluorescence Visualization Retention)
●異常細胞→暗色に見える(蛍光可視の消失) =FVL(Fluorescence Visualization Loss)

深達度

北米の報告によると、口腔内蛍光観察装置は、肉眼では判別が難しい粘膜異常の確認などには非常に有効である事が確認されていますが、照射される青色光が到達する深度はおよそ3~4mmまでであるとされています。
(※炎症の状態により深達度には若干の変動が生じます)

そのため、顎骨の異常や、厚い白板で覆われた部位などは青色光が到達しないため蛍光に変化は認められないことが報告されています。

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*LED Dental Inc.が作成した操作説明書を監修


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口腔内蛍光観察装置について

口腔がん検診・口腔健診とは

皆様はお口の中できる"口腔がん"をご存知でしょうか。
日本では毎年3,000人を超える方が口腔がんによって命を落としています。

「ただの口内炎だと思っていた」
「痛みがないので放っておいた」

などの理由から発見が遅れた結果、手遅れになるケースが非常に多いのが現状です。
しかし、口腔がんは早期発見・治療ができれば命を落とすケースは少ないのです。

口腔がん検診では、患者さんのお口の中を隅々までチェックします。
そして、写真を使って作成した報告書を患者さんへお渡し、ご自身の目でお口の中を確認していただきます。
お口の中をすべてチェックすることにより、本人が自覚できない病変等を見つけることが可能です。

また、口腔がんは発見が遅れると患部を大幅に切除する必要があり、そういったケースでは発音や発声に障害が残ってしまうことが多くあります。
しかし、早期発見・治療できれば切除範囲はごくわずかのため、発音や発声に障害は残らない場合が多いのです。

口腔がんは慢性的な刺激が要因で発生する場合が多く、発症してしまう前にその要因を発見し取り除くことが重要です。

定期的に検査をし、わずかな変化を見逃さないことで、口腔がんの早期発見と治療を実現します。
ぜひ毎年の検診をお受けください。

口腔がん検診・口腔健診

日米の歯科医師の収入格差

米国の歯科医師の平均年収は1位:外科医(約2,000万円)、2位:CEO(約1,900万円)に続き、
約1800万円
を超えるそうですが、(U.S.News"2013年調査資料より当時のレートで算出")
日本の歯科医師の平均年収はなんと621万円(平成25年厚生労働省調査)で、米国のおよそ3分の1しかないことがわかっています。

もちろん保険制度の違いなどもありますが、問題はそれだけではありません。

収入格差

日本の歯科医師は米国の9倍働いている?

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米国に比べ、日本は一医院あたりの患者数が約3倍との調査結果が出ています。(OECD Health Data 2009.調査)
日本の歯科医師は米国よりも、3倍の患者さんを診ているにも関わらず、収入は3分の1ということになり、米国の歯科医師レベルの収入を得ようとすると今よりも9倍働く必要があるという計算になります。

米国は予防。日本は治療。

米国の歯科医院受診理由の約82%は「予防」のため(『American Dental Association』1994より算出)であるのに対して 、日本での歯科医院受診理由は、約88%が「治療」のため(厚生労働省『保健動向調査』1999年より算出)であるという事実があることからも、まだまだ歯科医療の先進国とではの意識の差があると言わざるを得ません。
日米通院事情 977 646トリミング.jpg

2015年6月 1日

口腔がん検診・口腔健診の内容

口腔がん検診
口腔がんの早期発見や、異形成段階(がんになる前の状態)を早期発見し治療するために、お口の中をチェック(検診)します。

口腔健診
お口の中の口腔がんになる可能性のある要素(原因)をチェック (健診)します。
また、医院により、歯周病検査や唾液検査(口腔内細菌検査)などをオプションで行うことにより、お口の中を総合チェック(健診)します。

口腔がんの主な原因(症例から)
・生活習慣(喫煙、飲酒等)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・う蝕(虫歯)・歯周病、詰め物・被せ物不適
・舌小帯付着異常(舌の裏の紐のような部分が短い方は要注意)
・アマルガム(金属の詰め物)
・口内炎(10日くらい経過しても治らない場合は要注意)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・HPV(ウィルス)、など

口腔がん検診の重要性
日本は、世界の先進国の中で、唯一、口腔がんの死亡数が激増している国!ということをご存知でしたか?
(※日本での口腔がん患者の死亡率は「35.5%」と米国(19.8%)の約1.7倍です!)

口腔がんは、悲惨な「がん」です。手術になれば、舌・顎・頬の一部、もしくは、大部分を切除せざるを得ず、その結果、口の機能に大きな障害を持つことになります。

通常、がんになるまでには5年~10年はかかりますので、
最低でも1年に1回、「口腔がん検診」を受診し、早期発見・前がん状態での治療を心がけてください。

口腔がん検診の基本的な流れ

1.問診票の入力(記入) (5分)
口腔がんになる要素がどれくらいあるか?生活習慣についてご入力(ご記入)いただきます。

問診票の記入


次

2-1.視診・触診・写真撮影(5分)
視診:お口の中の異常がないかを目で確認します。
触診:ゴム手袋を付けた指で触り、しこりや盛り上がっているところがないかを調べます。

異常を発見した場合、お口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

オーラルナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


2-2.口腔内蛍光観察装置を使った観察・写真撮影 (5分)
口腔内蛍光観察装置でお口の中に青色光を当てて、異常がないか観察をします。
そのままお口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

ナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


次

3.報告書を元にカウンセリング (5~10分程度)
結果を報告書にまとめ、それを元に口腔内の現状に関しカウンセリングを行います。
口腔内に関し、歯科医師から指摘を受けた場合は、速やかに口腔内の治療や改善を行ってください。

問診票の記入


次

問題なし
継続して、最低でも年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう。

何らかの異常があった場合
歯科医師の指示に基づき、治療を開始してください。 大学病院等を紹介する場合もあります。


費用

各医院ごとに検診内容が異なりますが、費用の範囲は「5,000円~10,000円」くらいです。
実際の費用は、各医院にお問い合わせください。

口腔がん検診・口腔健診

年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう

2015年5月31日

使用環境

ベルスコープ撮影風景185 240.jpg
室内の照明を落とした状態での使用を推奨しています。
蛍光灯などの光が多く存在する場合、正確な病変の描出ができない可能性があります。


使用方法

ハレーション185 240.JPG
口腔内蛍光観察装置は、口腔内から約8cm~10cm離した状態で観察を行います。(商品によって異なります。)距離が近すぎたり、遠すぎる場合は写真撮影の際に焦点が合いにくい可能性があります。

また、歯牙は強い白色反射(ハレーション)を起こします
歯肉などの比較的、歯牙に近い部分を観察する場合ハレーションが強く観察し難い場合もありますので、その場合は視診・触診による検査結果を重視し、もし異常が感じられたらナビシステムを利用したり、地域基幹病院の専門医に相談してください。

米国での口腔がん検診

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従来は米国でも「視診・触診」だけの口腔がん検診が主流でしが、昨今では「視診・触診」と合わせて口腔内蛍光観察装置での観察が主流となっています。

その背景には、「視診・触診」のみでの口腔がん発見率が約68%と低く、「なぜ発見してくれなかったんだ!」という訴訟が多発した経緯があります。
そこでアメリカ食品医薬品局はいち早く医療機器として認可し、一般クリニックへ導入が開始されました。現在、口腔内蛍光観察装置は米国の約20%以上のクリニックへ導入され、今や、口腔内観察においては不可欠な機器となっています。

また、カナダ保健省でも医療機器認可を受けており、カナダ国内でも広く扱われている機器となっています。


※日本で発売されている口腔内蛍光観察装置は こちら のページをご覧ください。

※注:口腔内蛍光観察装置は、診断機器ではありません。あくまで口腔内の状態を観察する道具であり、診断は歯科医師が行います。
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観察時のポイント

FVLが認められた場合
●炎症性病変との鑑別を考える
咬傷や口内炎などの場合、ターンオーバーの期間を考慮し回復傾向の有無を確認してください。

●対称部位に同様のFVLがないか確認する
対称部位にFVLが確認出来る場合は、比較的良性の可能性が高いです。

●口腔がんの好発部位との関係性を考慮する
FVL病変の部位と、口腔がんの好発部位を考慮し少しでも疑わしい場合は、精密検査の実施もしくは基幹病院への紹介を行なってください。

●良性病変との鑑別をすることが重要
出血などを伴う病変の場合、ヘモグロビンの働きによりFVLとして観察できます。
判断出来ない場合は、ナビシステムをご利用下さい。

●他の検査方法(視診・触診・擦過診・細胞診・組織診など)と合わせて診断する
口腔内蛍光観察装置での感度、特異度はともに100%ではありません。
口腔内蛍光観察装置はスクリーニング機器として使用し、視診や触診での所見と異なる場合には、必ず他の検査方法と併用して下さい。

※注意※
口腔内蛍光観察装置は、補助的診断機器として使用することが原則であり、従来の口腔粘膜検査での異常所見を覆すべきものではありません。
クリニックで判断できない場合や、設備が無い場合は近隣の基幹病院へご紹介をお願いいたします。

口腔内蛍光観察装置について

1. 口腔内蛍光観察装置の種類 2. 病変描出の仕組み 3. 使用時・観察時のポイント