2015年11月 9日

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)開発の歴史

1990年代半ば
現在、口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)を開発・製造しているLED Dental Inc.の創設者Peter Whitehead博士は、カナダのBritish Columbia州 Cancer Agency(癌局:BCCA)と口腔内の蛍光観察について共同研究を開始。

この両者の共同研究はアメリカ合衆国保健福祉省(HHS)の基金団体より、肺、子宮頚管部と共に口腔内の蛍光観察の実用化を支援するため$50億USDの補助金支援プログラムに組み入れられる。

2000年
Peter Whitehead博士は蛍光観察による口腔内の粘膜異常、前癌病変及び口腔がんを発見する革新的技術開発により特許取得。同年LED Medical Diagnostics Inc.と運営子会社LED Dentalを設立。

2006年8月
初代モデルの「VELscope(製品名)」を北米で市場導入。アメリカ食品医薬品局(FDA)及びカナダ保険局(Health Canada)より医療機器の認可を取得。

VELscope 初代モデル

2008年1月
2代目モデル「VELscope Vantage(製品名)」を北米で市場導入。初代「VELscope(製品名)」と2代目「VELscope Vantage(製品名)」で累計約5,700台余りのクリニックへの導入実績。

2011年1月
現行モデル「VELscope®Vx(製品名)」を市場導入ワイヤレスで使用可能となった「VELscope®Vx(製品名)」は累計6,000台のクリニックへの導入実績。(現在に至る)

VELscope Vantage 2台目モデル

他、VELscope Vx関連情報

「VELscope®Vx(製品名)」製品サイト
「VELscope®Vx(製品名)」製品サイト
※口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)のメーカーでありLED Dental Inc.の製品説明用のサイト

VELscope®Vx製品サイト

VELscope Training Video

※LED Dental Inc.とDenMat社(注2)が制作している歯科Dr.向けの教育ビデオ(簡易版)


Oral Cancer Screening - Velscope

※LED Dental Inc.とDenMat社(注2)が制作している歯科Dr.向けの教育ビデオ(簡易版)

2015年10月28日

代表理事 柴原孝彦

一般社団法人 口腔がん撲滅委員会
代表理事 柴原孝彦

一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 代表理事 柴原孝彦

【経歴】
1979年 東京歯科大学卒業 1984年 同大学大学院研究科修了歯学博士 1984年 同大学助教(口腔外科学講座) 1986年 国立東京第二病院厚生技官 1987年 日本口腔外科学会認定医(専門医) 1989年 東京歯科大学講師(口腔外科学講座) 1993年 ドイツ・ハノーバー医科大学客員講師 1995年 日本口腔外科学会指導医 2000年 東京歯科大学准教授 2004年 東京歯科大学主任教授 2007年 老年歯科医学会専門医 2008年 顎顔面インプラント学会認定医 2009年 がん治療認定機構暫定教育医 2012年 有病者歯科医療学会指導医 2012年 日本口腔外科学会常任理事、日本口腔腫瘍学会常任理事、日本口腔科学会理事 2014年10月 口腔がん撲滅委員会 活動スタート 2015年 東京歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 主任教授 2017年2月 一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 代表理事


理事 野村武史

一般社団法人 口腔がん撲滅委員会
理事 野村武史

一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 理事 野村武史

【経歴】
1995年3月 東京歯科大学卒業 1995年4月 東京歯科大学大学院歯学研究科
(口腔外科学専攻)
2000年4月 東京歯科大学口腔外科学第一講座 助手 2006年4月 東京歯科大学口腔外科学講座 講師 2009年7月 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学歯学部 Oral Biological and Medical Sciencesに客室研究員として研究留学 2013年7月 東京歯科大学口腔外科学講座 准教授 2014年6月 東京歯科大学口腔がんセンター 准教授 2014年10月 口腔がん撲滅委員会 活動スタート 2015年4月 東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座 主任教授 2017年2月 一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 理事


理事 柳下 寿郎

一般社団法人 口腔がん撲滅委員会
理事 柳下寿郎


一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 理事 柳下寿郎

【経歴】
1989年3月 日本歯科大学歯学部 卒業 1993年3月 日本歯科大学大学院歯学研究科 修了 1993年4月 日本歯科大学歯学部病理学教室 助手 1996年1月 州立フロリダ大学歯学部 客員研究員 1998年4月 日本歯科大学歯学部病理学教室 講師 1998年10月 東邦大学医学部第一病理学講座 非常勤研究員(~2004年 8月) 2001年10月 人体解剖資格医 取得 (第7494号) 2004年8月 口腔病理専門医 取得 (第126号) 2004年10月 日本歯科大学歯学部病理学講座 准教授 2005年10月 日本歯科大学附属病院口腔病理診断室 異動 2009年4月 日本病理学会 評議員 2010年4月 口腔腫瘍学会 評議員 2011年12月 科学研究費委員会専門委員(~2013年11月) 2012年4月 日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科 科長 2012年4月 口腔病理専門医研修指導医 2012年12月 細胞診専門歯科医認定医 取得 2014年10月 口腔がん撲滅委員会 活動スタート 2014年12月 1日 東京医科歯科大学非常勤講師 2015年4月 1日 東邦大学医学部客員講師 2016年4月 日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科 教授 2017年2月 一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 理事

埼玉県立がんセンター病理科 非常勤研究員


2015年8月20日

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2015年6月12日

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)での観察像

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)から照射された青色光は、本機を通して観察すると緑色にみえます。
健常細胞は青緑色にみえ、細胞の異形性を伴う部分は暗色にみえます。
健常細胞は青色の照射光を反射し、光の消失がないことからFVR(Fluorescence Visualization Retention)とよばれ、異形性細胞は青色の照射光を吸収してしまい、光が消失することからFVL(Fluorescence Visualization Loss)とよばれます。
⇒詳しくはこちら

・正常像
・白板症
・口腔がん・ベルスコープが有用だった症例
・扁平苔癬
・アフタ性口内炎
・血管腫(血腫含む)
・外傷による炎症
・特徴のある観察像


症例提供:東京歯科大学様

正常像

VELscope 健常口腔粘膜.jpg
VELscope 正常な血管.jpg


白板症(上皮異形性を伴わない症例)

VELscope 白板症3-1.jpg

口腔がん

VELscope 口腔がん.jpg

扁平上皮がん

VELscope 扁平上皮癌1.jpg

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)が有用だった症例

有用症例.jpg

扁平苔癬

001.jpg

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎
VELscope アフタ性口内炎1-1.jpg

血管腫(血腫含む)

血腫VELscope 血腫.jpg
血腫を口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)で観察すると、FVLとして観察できます。
これは血液中のヘモグロビンの作用により、青色の照射光の散乱が起こり反射しないためFVLとなります。

外傷による炎症

咬傷VELscope 咬傷.jpg
外傷による炎症の場合、外傷によりコラーゲン架橋構造が破壊されることに加え、出血を伴うことでヘモグロビンの作用によりFVLが確認されます。

特徴のある観察像

オレンジ色の蛍光発色舌苔 line.jpg
舌背などのポリフィリンが豊富に存在する部分は症例の様にオレンジ色の蛍光発光をします。もし視診時に異常を認め、患部にオレンジ色の蛍光発光が起こり判別が困難な場合は、口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)での観察と合わせて細胞診等を実施してください。

2015年6月10日

レッド&ホワイトリボン

乳がん検診の早期受診を啓発するシンボルとして「ピンクリボン」というものがあります。近年ではこのピンクリボンに協賛する大手企業が増えてきているので、一度は目にしたことや耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

口腔がん撲滅運動を実施している団体ではレッド&ホワイトリボンを掲げています。

これは口腔がんに対する正しい知識を世に浸透させ、口腔がんの早期発見と検診の受診を促進させる目的として米国でも広まっているシンボルです。
東京都玉川歯科医師会を中心に、口腔がんの撲滅運動に賛同する歯科医院やドクターがこの赤と白のリボンを掲げています。

ribbon.jpg

なぜ赤色と白色なのか
口腔がんと判別するうえでひとつの目印となるのが炎症です。そのなかでも白い部分と赤い部分が混在する炎症は特に注意が必要とされ、炎症部分が隆起しているものや、しこりのような硬さのあるものは医師の診察が必要とされています。

そのような目印の一つとして認識してもらうためにも、赤と白のリボンになったとのことです。

このレッド&ホワイトリボンを掲げているドクターにお会いした際には、ぜひ積極的に口腔がんのことについて聞いてみてください。


レッド&ホワイトリボンを携えて口腔がん撲滅運動に参加しませんか?

ピンバッジ
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン
ステッカー
  • レッド&ホワイトリボン
  • レッド&ホワイトリボン

ribbon.jpg

2015年6月 2日

口腔内蛍光観察装置VELscope®Vx(ベルスコープ)とは

研究開始から20年の世界標準の口腔内蛍光観察装置。
積み上げられた実績は世界で約2,500万以上の症例数。
日本で正式な医療機器として届出!

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)とは、口腔内を観察する蛍光観察装置です。

口腔内の情報を400nm~460nmの青色光を照射してモニターに映し出します。それによって医師は口腔内粘膜に異形成の疑いがあるかどうか観察します。

2008年に販売が開始され、すでにアメリカ(FDA510(k))やカナダ(Health Canada)では医療機器として認可を受けており口腔内を観察する機器として使用されています。

日本では、2015年3月に医療機器として届出をしました。
一般医療機器 届出番号:13B1X10181000046

Velscope_Group_Product_Shot.jpg

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)の特徴

仕様

●コードレスでコンパクトなデザイン
  • 充電式であり、持ち運びが可能なため電源の無い場所でも使用が可能。
  • フル充電時での連続照射可能時間はおよそ15分程度。
  • 電源のダイレクト接続も可能なので、15分を超える連続使用も可能です。
VELscope 特徴1.jpg

●簡単操作
  • ボタン1つで観察できます。

●最も優れた蛍光可視化技術
  • シンプルなプロトコル
  • 通常の(白色照明下で行われる触診による)口腔軟組織観察の補助装置として使用
  • 短時間の検査で操作も簡単
  • 痛みは全くなし
  • 容易にフォトドキュメンテーションが可能(カメラ付き)

●使い捨て保護キャップ、保護シートも用意
  • 保護キャップ:レンズを保護します。
  • 保護シート :ハンドピースとカメラを保護します。

●写真撮影が可能
  • 本機にデジタルカメラを装着することが可能なため、ドクターの見ているそのままの状態を写真で記録することが可能。
  • 撮影写真はデータとして記録出来るため、通常の口腔内写真と簡単に比較することが可能。

実績

●世界での導入件数
北米を中心に多数の導入がされており、
12,000名以上の医師が使用しています。

●症例数
世界での症例数は2,500万件以上にのぼります。

北米診療.jpg

非侵襲性

●光を照射するだけの非侵襲性の観察
口腔粘膜の検査方法(もしくは観察方法)はヨード染色や細胞診、組織診などさまざまありますが、それらと比較し患部に直接触れないため、患者さまにほとんど負担をかけることなく検査(観察)を行うことが可能です。

口腔粘膜異常を観察する医療機器

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、以下のような口腔粘膜異常を観察するための優れた医療機器です。

  • ウイルス、真菌、及び細菌感染
  • 様々な原因によって引き起こされる炎症(扁平苔癬、苔癬型反応、アマルガムアレルギー等)
  • 扁平上皮乳頭腫
  • 唾液線腫瘍
  • がんと前がん

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、染色や時間のかかる観察手順を必要としません。歯科医院で(白色灯下で)短時間で観察することができます。口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)は、世界23カ国で13,000名以上の医師が使用しており、2,500万件以上の実績があります。(LED Dentalのホームページより)

組織蛍光発光可視化技術を使った口腔内スクリーニング装置として、グローバル規模で支持を受けています。

VELscope®Vx

病変描出の仕組み

口腔内蛍光観察装置で口腔内に青色光を照射し、その反射光によって組織の異形成の有無を観察します。
上皮異形成組織や炎症は青色光を反射することなく、光を吸収してしまうため暗色として見えます。これをFVL(蛍光可視の消失)と呼びます。

上皮異形成組織や炎症においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、炎症の浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

描出図 300.jpg

健康な細胞にはFAD補酵素が存在し、このFAD補酵素が蛍光物質であると考えられていますが、上皮異形性やがん細胞においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため自家蛍光が低下し、暗色となります。

また、正常なコラーゲン架橋構造もFAD同様に蛍光物質であると確認されていますが、がんの浸潤により架橋構造が破壊されると自家蛍光が低下するため暗色に見えます。

参考表
●正常細胞→青緑色に見える(蛍光可視の保持)=FVR(Fluorescence Visualization Retention)
●異常細胞→暗色に見える(蛍光可視の消失) =FVL(Fluorescence Visualization Loss)

深達度

北米の報告によると、口腔内蛍光観察装置は、肉眼では判別が難しい粘膜異常の確認などには非常に有効である事が確認されていますが、照射される青色光が到達する深度はおよそ3~4mmまでであるとされています。
(※炎症の状態により深達度には若干の変動が生じます)

そのため、顎骨の異常や、厚い白板で覆われた部位などは青色光が到達しないため蛍光に変化は認められないことが報告されています。

collagen cross-links.jpg

*LED Dental Inc.が作成した操作説明書を監修


波長.jpg

口腔内蛍光観察装置について

口腔がん検診・口腔健診とは

皆様はお口の中できる"口腔がん"をご存知でしょうか。
日本では毎年3,000人を超える方が口腔がんによって命を落としています。

「ただの口内炎だと思っていた」
「痛みがないので放っておいた」

などの理由から発見が遅れた結果、手遅れになるケースが非常に多いのが現状です。
しかし、口腔がんは早期発見・治療ができれば命を落とすケースは少ないのです。

口腔がん検診では、患者さんのお口の中を隅々までチェックします。
そして、写真を使って作成した報告書を患者さんへお渡し、ご自身の目でお口の中を確認していただきます。
お口の中をすべてチェックすることにより、本人が自覚できない病変等を見つけることが可能です。

また、口腔がんは発見が遅れると患部を大幅に切除する必要があり、そういったケースでは発音や発声に障害が残ってしまうことが多くあります。
しかし、早期発見・治療できれば切除範囲はごくわずかのため、発音や発声に障害は残らない場合が多いのです。

口腔がんは慢性的な刺激が要因で発生する場合が多く、発症してしまう前にその要因を発見し取り除くことが重要です。

定期的に検査をし、わずかな変化を見逃さないことで、口腔がんの早期発見と治療を実現します。
ぜひ毎年の検診をお受けください。

口腔がん検診・口腔健診

日米の歯科医師の収入格差

米国の歯科医師の平均年収は1位:外科医(約2,000万円)、2位:CEO(約1,900万円)に続き、
約1800万円
を超えるそうですが、(U.S.News"2013年調査資料より当時のレートで算出")
日本の歯科医師の平均年収はなんと621万円(平成25年厚生労働省調査)で、米国のおよそ3分の1しかないことがわかっています。

もちろん保険制度の違いなどもありますが、問題はそれだけではありません。

収入格差

日本の歯科医師は米国の9倍働いている?

日米診療数300 180.jpg
米国に比べ、日本は一医院あたりの患者数が約3倍との調査結果が出ています。(OECD Health Data 2009.調査)
日本の歯科医師は米国よりも、3倍の患者さんを診ているにも関わらず、収入は3分の1ということになり、米国の歯科医師レベルの収入を得ようとすると今よりも9倍働く必要があるという計算になります。

米国は予防。日本は治療。

米国の歯科医院受診理由の約82%は「予防」のため(『American Dental Association』1994より算出)であるのに対して 、日本での歯科医院受診理由は、約88%が「治療」のため(厚生労働省『保健動向調査』1999年より算出)であるという事実があることからも、まだまだ歯科医療の先進国とではの意識の差があると言わざるを得ません。
日米通院事情 977 646トリミング.jpg

2015年6月 1日

口腔がん検診・口腔健診の内容

口腔がん検診
口腔がんの早期発見や、異形成段階(がんになる前の状態)を早期発見し治療するために、お口の中をチェック(検診)します。

口腔健診
お口の中の口腔がんになる可能性のある要素(原因)をチェック (健診)します。
また、医院により、歯周病検査や唾液検査(口腔内細菌検査)などをオプションで行うことにより、お口の中を総合チェック(健診)します。

口腔がんの主な原因(症例から)
・生活習慣(喫煙、飲酒等)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・う蝕(虫歯)・歯周病、詰め物・被せ物不適
・舌小帯付着異常(舌の裏の紐のような部分が短い方は要注意)
・アマルガム(金属の詰め物)
・口内炎(10日くらい経過しても治らない場合は要注意)
・歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
・HPV(ウィルス)、など

口腔がん検診の重要性
日本は、世界の先進国の中で、唯一、口腔がんの死亡数が激増している国!ということをご存知でしたか?
(※日本での口腔がん患者の死亡率は「35.5%」と米国(19.8%)の約1.7倍です!)

口腔がんは、悲惨な「がん」です。手術になれば、舌・顎・頬の一部、もしくは、大部分を切除せざるを得ず、その結果、口の機能に大きな障害を持つことになります。

通常、がんになるまでには5年~10年はかかりますので、
最低でも1年に1回、「口腔がん検診」を受診し、早期発見・前がん状態での治療を心がけてください。

口腔がん検診の基本的な流れ

1.問診票の入力(記入) (5分)
口腔がんになる要素がどれくらいあるか?生活習慣についてご入力(ご記入)いただきます。

問診票の記入


次

2-1.視診・触診・写真撮影(5分)
視診:お口の中の異常がないかを目で確認します。
触診:ゴム手袋を付けた指で触り、しこりや盛り上がっているところがないかを調べます。

異常を発見した場合、お口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

オーラルナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


2-2.口腔内蛍光観察装置を使った観察・写真撮影 (5分)
口腔内蛍光観察装置でお口の中に青色光を当てて、異常がないか観察をします。
そのままお口の中の状態を写真撮影します。

問診票の記入

ナビシステム
異常を発見した場合、大学の口腔外科専門医に、撮影した写真をすぐに送信し診断のサポートを依頼します。


次

3.報告書を元にカウンセリング (5~10分程度)
結果を報告書にまとめ、それを元に口腔内の現状に関しカウンセリングを行います。
口腔内に関し、歯科医師から指摘を受けた場合は、速やかに口腔内の治療や改善を行ってください。

問診票の記入


次

問題なし
継続して、最低でも年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう。

何らかの異常があった場合
歯科医師の指示に基づき、治療を開始してください。 大学病院等を紹介する場合もあります。


費用

各医院ごとに検診内容が異なりますが、費用の範囲は「5,000円~10,000円」くらいです。
実際の費用は、各医院にお問い合わせください。

口腔がん検診・口腔健診

年に1回は口腔がん検診・口腔健診を受けましょう

2015年5月31日

使用環境

ベルスコープ撮影風景185 240.jpg
室内の照明を落とした状態での使用を推奨しています。
蛍光灯などの光が多く存在する場合、正確な病変の描出ができない可能性があります。


使用方法

ハレーション185 240.JPG
口腔内蛍光観察装置は、口腔内から約8cm~10cm離した状態で観察を行います。(商品によって異なります。)距離が近すぎたり、遠すぎる場合は写真撮影の際に焦点が合いにくい可能性があります。

また、歯牙は強い白色反射(ハレーション)を起こします
歯肉などの比較的、歯牙に近い部分を観察する場合ハレーションが強く観察し難い場合もありますので、その場合は視診・触診による検査結果を重視し、もし異常が感じられたらナビシステムを利用したり、地域基幹病院の専門医に相談してください。

米国での口腔がん検診

Dental - Velscope-6511_COMP.JPG
従来は米国でも「視診・触診」だけの口腔がん検診が主流でしが、昨今では「視診・触診」と合わせて口腔内蛍光観察装置での観察が主流となっています。

その背景には、「視診・触診」のみでの口腔がん発見率が約68%と低く、「なぜ発見してくれなかったんだ!」という訴訟が多発した経緯があります。
そこでアメリカ食品医薬品局はいち早く医療機器として認可し、一般クリニックへ導入が開始されました。現在、口腔内蛍光観察装置は米国の約20%以上のクリニックへ導入され、今や、口腔内観察においては不可欠な機器となっています。

また、カナダ保健省でも医療機器認可を受けており、カナダ国内でも広く扱われている機器となっています。


※日本で発売されている口腔内蛍光観察装置は こちら のページをご覧ください。

※注:口腔内蛍光観察装置は、診断機器ではありません。あくまで口腔内の状態を観察する道具であり、診断は歯科医師が行います。
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観察時のポイント

FVLが認められた場合
●炎症性病変との鑑別を考える
咬傷や口内炎などの場合、ターンオーバーの期間を考慮し回復傾向の有無を確認してください。

●対称部位に同様のFVLがないか確認する
対称部位にFVLが確認出来る場合は、比較的良性の可能性が高いです。

●口腔がんの好発部位との関係性を考慮する
FVL病変の部位と、口腔がんの好発部位を考慮し少しでも疑わしい場合は、精密検査の実施もしくは基幹病院への紹介を行なってください。

●良性病変との鑑別をすることが重要
出血などを伴う病変の場合、ヘモグロビンの働きによりFVLとして観察できます。
判断出来ない場合は、ナビシステムをご利用下さい。

●他の検査方法(視診・触診・擦過診・細胞診・組織診など)と合わせて診断する
口腔内蛍光観察装置での感度、特異度はともに100%ではありません。
口腔内蛍光観察装置はスクリーニング機器として使用し、視診や触診での所見と異なる場合には、必ず他の検査方法と併用して下さい。

※注意※
口腔内蛍光観察装置は、補助的診断機器として使用することが原則であり、従来の口腔粘膜検査での異常所見を覆すべきものではありません。
クリニックで判断できない場合や、設備が無い場合は近隣の基幹病院へご紹介をお願いいたします。

口腔内蛍光観察装置について

1. 口腔内蛍光観察装置の種類 2. 病変描出の仕組み 3. 使用時・観察時のポイント

2015年5月14日

健康診断と同じ感覚で口腔がん検診を受けましょう

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口腔がんはほかのがんに比べて発見しやすく、早期発見であれば5年生存率は90%以上、完治が十分可能です。一般的に口腔がんになるまでには5~6年かかることから、ご自宅での口腔内チェックに加えて歯科医院での口腔がん検診を受けることで、早期発見・早期治療ができます。

行政が主体となっている口腔がん検診は全国数十か所で実施されていますが、積極的に告知されていない、場合によっては年齢が決められているなど、あまり身近でないのが現状です。

がん全体からみれば約1~3%と低い数値ではありますが、日本では毎年約3,000人が口腔がんで命を落としています。「数値が低い=かからない確率のほうが高いから大丈夫」と楽観視するのはあまりに危険です。絶対に口腔がんにかからない、という保証はどこにもありません。人間ドックや健康診断を受けるように、半年に一度は口腔がん検診を受けましょう。

がんに対する認識

厚生労働省の統計によると、1981年にがんが死亡原因のトップとなり、現在は男性で最も多いのが肺がん、女性では大腸がんという報告がなされています。がん発症のリスクを軽減するために国立がん研究センターが提唱しているのが「禁煙、飲酒の節制、塩分を控えめにする、適度な運動、適正なBMI(体重を身長(m)の2乗で割った数値)の維持」です。これら日常生活でのがん予防のほか、定期的にがん検診を受け、がんや、がんの原因になりやすい箇所がないか、細かくメンテナンスが行われるようになってきました。

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またがんに関する情報が、報道や書物、インターネットなどで容易に手に入る環境にあります。昔は不治の病、かかったら命を諦めなければならないとされていましたが、医療の進歩によって「早期発見であれば必ず治る病気」へと変化してきているとも言えるでしょう。

こうして考えると、私たちのがんに向かい合う姿勢はポジティブなものとなってきたように思われますが、日常でよく耳にする肺がん、大腸がん、胃がん、子宮がんなどに比べて、口腔がんの認知度と認識はまだまだ低いのが現実です。

なぜ死亡率が高いのか?

「食事をすると胃が痛む。胃がんかもしれないので検査へ行こう」「肺がん予防のために禁煙外来に通う」という人はいらっしゃいますが「口腔がん予防のために歯科医院へ健診に行く」という人は数えるほど。

体内に発症するがんは専門医にかからなければ確認できませんが、口腔内は異常がないかどうかを自分の目で見てチェックすることが可能です。それなのに死亡率が高いのはなぜでしょうか?

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日本人の口腔がんを年齢別に見ると、70代が29.1%、60代が26.5%、50代が18.1%となっており、50歳以上が約80%を占めているという報告があります。高齢化社会を迎えた日本では、今後高齢者の口腔がん患者がさらに増加すると予測されています。

口腔がんは自分で初期の段階で見つけることができます。早期発見できれば、それだけ治癒率が高まりますが、口内炎などの粘膜疾患、歯肉がんの場合、虫歯による痛みが原因ではないかといった思い込みや勘違いによって見逃される可能性があり、これが、死亡率が下がらない要因の1つとなっています。

なかなか治らない口内炎がある、しこりや粘膜が部分的に赤くなっていたり白く変色したりしている、などの症状が現れたら、自己判断せず、早めに歯科医院を受診するようにしてください。口腔内環境を整える、口腔内のチェックを習慣化する、気になる疾患があれば速やかに歯科医院へ行く、この3つを実践することで、口腔がんの死亡率は確実に減少していくはずです。

早期発見の重要性

がんに限らず、どのような疾患も「早期発見・早期治療」が大切です。欧米では口腔がんの早期発見・早期治療を国民に呼びかけ、取り組んだことで、死亡率を大幅に減少させました。口腔がんの場合、初期段階(ステージⅠ)で治療をすれば5年後の生存率は97%以上です。(東京歯科大学様治療実績より引用)浅い口腔がんであれば切除範囲も小さくて済むため、大きな後遺症はありません。

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口腔がんの治療法には手術・放射線・抗癌剤の3つがありますが、最も有力な治療法は手術です。小さながんは簡単な手術で治すことができ、入院の必要がないものもあります。

しかし、進行がんの5年生存率は初期がんと比較し、20%以上も下がります(東京歯科大学様治療実績より引用)。病状にもよりますが、がんを完全に取り除くために舌や顎を切除する可能性があります。このとき患者さんの骨や皮膚を移植して再建しますが、容貌が変わる、感覚が麻痺する、味覚が失われる、噛めない、飲み込めないなど、後遺症が残ることがあります。命こそ助かるものの、その代償は想像以上に大きなものとなるのです。「早期発見・早期治療は人生を大きく変える」と言っても決して大袈裟ではありません。

がん化する可能性のある白板症と紅板症
口腔がんを引き起こす要因はさまざまですが、口の中に白い斑点(白板症)がみられた場合、3~5%の確率でがん化する可能性があります。また、粘膜のただれ、赤い斑点(紅板症)は白板症よりも高い確率でがん化するといわれています。これら白板症と紅板症を前がん病変と言い、速やかに治療を行う必要があります。

2015年5月13日

口腔がん・舌がんとは

死亡原因の1位は「がん」!
口腔がんは、その中で「死亡率35.5%(第12位)のがん!」なのです。

  • すい臓がん:1位(82.4%)
  • 肺がん  :5位(58.9%)
  • 食道がん :7位(44.4%)
  • -------------------------------------------
  • 胃がん  :13位(33.8%)
  • 子宮頸がん:18位(24.0%)
  • 乳がん  :21位(14.7%)
  • 皮膚がん :25位(6.3%)

(出典:2016年国立がんセンター)


口腔がんとは

現在、日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっています。まさに「がんは日本人の国民病」と言っても大袈裟ではないかもしれません。現代の医学は大きく進歩して生存率も高くなってきていますが、それでも「がん」と診断されたら動揺し、不安な気持ちになるでしょう。

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そもそもがんとは、どのようなものなのでしょうか?私たちの体は約60兆個の細胞で成り立ち、それが分裂を繰り返すことで新しく生まれ変わっています。細胞1つひとつにはDNA(遺伝子)が1組ずつ入っていて、細胞の働きをスムーズに行えるようコントロールしています。このDNAが傷ついて突然変異を起こすと、異常な細胞が発生してがん化すると考えられています。


年間7,675人の方が口腔がん(咽頭含む)で命を落としています

口腔がんはお口の中に発生するがんで、歯以外のどこにでも発生する可能性があります。舌がん、歯肉(歯ぐき)がん、口腔底(舌の下)がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあり、そのうち日本人に一番多いのが舌がん(約60~70%)です。

ときどき「口の中にもがんができるの?」と驚かれる方がいらっしゃいます。それだけ口腔がんは認知度が低いのが現状ですが、頭や喉にできるがんの中では、喉頭がんに次いで多いのが口腔がんです。がん全体からすれば約1~3%と低い数値ではありますが、日本では年間7,675人が口腔がん(咽頭含む)で亡くなられています。残念ながら、この数字は年々増え続けています。

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口腔がんの症状

口腔がんの場合、初期は自覚症状がほとんどありません。痛みがある、食べ物や飲み物がしみる、違和感がある、首のリンパ節が腫れる、なかなか口内炎が治らない、といった症状が出てきたときは、すでにがんが進行している状態です。

目に見える症状として、舌や粘膜の変色があります。ほかにも、しこりがある、ざらざらした突起・潰瘍、口の中の痛みしびれ感、物が噛みづらい、飲み込みにくい、話しづらい、顎や舌を動かしにくいなどの症状が現れます。

●舌がん
歯が欠けたり虫歯になったりして尖った部分がある、詰め物や被せ物の不適合、入れ歯が合わないなど、舌に慢性的な刺激が加わると、口腔がんを発症する場合があります。初期段階では潰瘍やびらんができますが、進行するにつれて、食事のときにしみる、歯ブラシが当たって痛むという自覚症状が現れてきます。さらに進むと、食事をするのが困難になる、言葉が発音できないなどの障害が起こり、がんが舌のつけ根や咽頭部に達すると舌を動かせなくなることもあります。

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●歯肉がん
歯肉がんの多くは上顎より下顎に発症することが多く、奥歯の近くにみられます。初期段階では歯肉が腫れるくらいで、強い痛みはありません。進行すると潰瘍やしこりができ、腫瘍が大きくなって表面がカリフラワー状に盛り上がり、出血がみられます。腫瘍が下顎の神経まで進行すると、下唇の麻痺や歯の傷みを感じることがあり、虫歯と勘違いして放置した結果、治療が遅れるケースも報告されています。がんが咽頭部にまで広がると、顎を動かしにくい、口が大きく開かなくなるといった症状が出ます。

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●口腔底がん
口腔底は舌の下の部分にあたり、がんは前方に多く発症します。喫煙と飲酒が大きく影響していると言われ、近年では女性の口腔底がんが増えていると危惧されています。初期段階では、小さな潰瘍ができる、粘膜が変色して白斑がみられる、充血による紅斑が生じる場合があります。ほとんど痛みを生じないため、かなり進行してからようやく治療を始める、というケースも少なくありません。口の底は狭く、がんが周囲の組織に浸潤して舌や歯肉、下顎骨にまで広がっている場合があります。

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●頬粘膜がん
上下の臼歯の周辺粘膜、口角の後ろなどに発生しやすく、詰め物や被せ物の不適合、合わない入れ歯による刺激、喫煙や飲酒などが原因と考えられています。初期段階は小さな潰瘍やびらんがみられますが、特に目立った症状はありません。進行すると顎下リンパ節や上内深頚リンパ節に約50%の確率で転移します。触ったとき、粘膜の下にしこりやふくらみ、痛みを感じることがあります。

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●口蓋がん
上顎に発症するもので、喫煙や飲酒、刺激物(辛い食べ物など)が要因と考えられています。初期段階では痛みはほとんどありません。進行すると、粘膜の表面が白っぽくなる、赤い斑点ができるなどの症状が現れます。激しい痛みはありませんが、ピリピリした刺激を感じる場合があります。もっと症状が進むと腫瘍ができて、強い痛みを感じるようになります。

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●口唇がん
口唇粘膜と皮膚の境目にある皮膚や粘膜部分に発症します。喫煙や紫外線、アルコールなどが要因とされていますが、口腔内にできるがんに比べて発症率は少ないとされています。初期段階では、口唇の表面が荒れる、かぶれるなどの症状がありますが、進行すると、しこり、潰瘍、びらん、カリフラワー状の腫瘤がみられます。

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口腔がんから大切な命を守るために

快適な食生活は、健康面ではもちろん、私たちの生活に活気と楽しみを与えてくれます。そして会話は、コミュニケーションをスムーズにし、人間関係を豊かにしてくれます。どちらも生きていく上でとても大切なことですが、これらは健やかな口腔環境によって支えられています。それが口腔がんによって奪われてしまうことになったとしたら?

口腔がんの5年生存率は60~80%と比較的高く、初期の段階で発見・治療をすれば、十分に元の生活を取り戻すことが可能です。しかしかなりステージが進んでしまうと、命を救うために手術で舌や顎の骨を切除しなければならなくなり、食事や会話がとても不自由になります。

アメリカをはじめとした先進諸国では、口腔がんの早期発見・早期治療が積極的に行われているため、がんになる確率は高くても、死亡率は減少傾向にあります。しかし、日本はどちらも増加の一途をたどっています。この違いは一体どこにあるのでしょうか?

日本では、ほかのがんに比べて口腔がんの認知度が低いことに大きな原因があります。口腔がんから大切な命を守り、いつまでも健康で快適な生活を送るために、私たちにできることがあります。それは、口腔がんの認識、予防、早期発見、早期治療です。

口腔がんとは、お口の中にできる悪性腫瘍を指します。細かく分類すると、舌がん、歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあり、一番多いのが舌がん、次が歯肉がんです。発症原因は、虫歯や歯肉炎などで粘膜に慢性的な刺激がある、細菌感染などのほか、喫煙や飲酒も口腔がんの引き金になりやすいと言われています。

口腔がんの自覚症状で多く見られるのが、口腔内の痛みや腫れ、潰瘍、出血、口臭などです。これらを虫歯や歯周病、口内炎といった口腔内疾患だと思い込み、知らないうちにがんが進行していた、というケースも少なくありません。また、初期の段階ではほとんど痛みがないため気がつかない場合があります。

歯肉が腫れる、しこりがある、治りにくい口内炎や傷があるときは、口腔がんを疑ったほうがよいでしょう。

たかが口内炎だと安心していませんか?

ご存知ですか?口腔がんの原因...
口の中の小さな問題から「がん化が始まる」と言っても過言ではありません!

  • 口内炎
  • 歯列不正(歯並びが悪い)
  • 義歯不適(入れ歯が合わない)
  • 舌・頬の圧痕(恒常的に歯の痕が付く)
  • 咬傷(口の中の噛み傷)
  • う蝕(虫歯)
  • 歯周病
  • 詰め物・やぶせもの不適
  • 舌小帯付着異常(舌の裏の紐のような部分)
  • アマルガム(金属の詰め物)

たかが口内炎だと安心していませんか?

口内炎とは、文字どおり口腔内の粘膜に起こる炎症で、多くは頬の内側、舌、歯ぐきなどにでき、小さな白い円形のものから赤く腫れて潰瘍を引き起こすものがあります。食べ物や飲み物がしみる、歯磨きのとき歯ブラシが当たると痛む、会話しづらくなるなど、不快な症状を体験した人は少なくないでしょう。

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直径1mmくらいのものから約1cmの大きさまでさまざまですが、多くの場合、2週間くらいで治癒します。そのため口内炎ができても「ほっておけば治る」「大したことはない」と思われがちですが、口内炎を繰り返すことによって口腔がんを発症する、口内炎だと思っていた症状が実は口腔がんだった、ということもあるのです。2週間以上経っても口内炎が治らない場合は、速やかに歯科医院にかかるようにしましょう。

口内炎の種類
●アフタ性口内炎
誤ってお口の中を噛んでしまったとき、粘膜が傷ついたり、疲れやストレスによって起こったりする口内炎です。白い円状の腫れができて周囲が赤く腫れた状態となり、食べ物や飲み物などがしみて激しい痛みを感じます。1~2週間で自然治癒しますが、痛みがあると食事を摂りにくくなるため、ステロイド剤の軟膏を使用して早期治癒を促します。

※アフタ性口内炎、実はベーチェット病の可能性も
アフタ性口内炎だと思っていたらベーチェット病だった、というケースがあります。ベーチェット病は、アフタ性口内炎、結節性紅斑などの皮膚症状、眼のぶどう膜炎、外陰部潰瘍を主症状とする全身的な炎症性の疾患で、それぞれが消失と再発を繰り返します。
1972年に厚生省が難病に指定した疾患ですが、未だ詳しい原因はわかっていません。
症状に応じた治療が行われますが、口内炎にはステロイド外用薬が使用されます。

●カタル性口内炎
歯の被せ物が合っていない、矯正装置が粘膜に強く当たるなどで起こる口内炎です。口腔内の粘膜が赤く腫れ、触ると痛みがあります。歯科医院で原因となる部分を治療、調整する必要があります。

●潰瘍性口内炎
虫歯で歯に尖った部分がある、入れ歯が当たるなどで起こる口内炎です。粘膜の表面に深い潰瘍ができ、周囲が赤く腫れて白い膜のようなもので覆われた状態となります。虫歯の治療と入れ歯の調整を行うことで症状が改善します。

●ウイルス性口内炎
ウイルスや細菌の感染によって起こる口内炎で、ヘルペス性口内炎、カンジダ性口内炎などがあります。多く見られるのはヘルペス性口内炎で、日本人は20~30代で約半数、60代以上ではほとんどの人が感染していると言われています。生後半年から3歳くらいの乳幼児がかかりやすく、一度感染するとウイルスが体内に残り続けるため、疲労や抵抗力の低下で繰り返し再発する場合があります。

ウイルス性口内炎の症状としては、最初に発熱や倦怠感があり、高熱のあと唇や口の中の粘膜に小さな水疱ができ、破れて潰瘍(かいよう=粘膜が傷つき、内部からえぐれたような状態になること)を起こします。

※ほかの口内炎と違い、ウイルス性口内炎は唾液から人に感染する危険性があるので、症状がある場合は食器やタオルなどの共有を避けてください。

<カンジダ性口内炎>
カンジダ性口内炎は、口腔内にカンジダというカビが増殖して起こる真菌性口内炎で、唇の裏側、頬の内側、上顎に薄くて白い膜ができます。この膜はこすると剥がれるのが特徴で、剥がした場所は赤く腫れています。初期にはあまり自覚症状がありませんが、飲食時や歯ブラシが当たると痛みを感じるようになります。真菌であるカンジダ菌に抗生物質は効かないため、抗真菌薬で口腔内を洗浄する塗り薬を使用します。

もともとカンジダは常在菌で、抵抗力が低下しているときに発生しやすいとされていますが、体力が弱い乳児や高齢者、血液疾患や糖尿病にかかっている場合も起こりやすくなります。また、カンジダ菌が喉の奥まで広がると呼吸困難を起こす可能性があるため、速やかに歯科医院や皮膚科、口腔外科で治療を受けるようにしましょう。

淋病やクラミジア、梅毒などのSTD(性行為感染症)が原因で起こる口内炎があります。どのようなウイルスが原因となっているかを診断し、適切な治療を行う必要があります。たかが口内炎と考えずに、歯科医院や皮膚科、口腔外科などにかかるようにしてください。

●アレルギー性口内炎
アフタ性口内炎のように、頬の内側、唇、舌などに白色の潰瘍ができて周囲が赤く腫れ、痛みがあります。原因としては、銀歯や義歯に使用されている金属、果物や野菜(トマト、キウイ、マンゴー、グレープフルーツなど)、薬などによるものが考えられます。

金属が原因の場合は、歯科医院で銀歯や義歯をアレルギーが起こらない素材(メタルフリー)に替える、食事や薬の場合はそれらを摂取しないようにすることでアレルギー性口内炎の発症を防ぐことができます。投薬治療では、ステロイド剤や抗アレルギー剤を一定期間服用する方法があります。

※歯科金属のパッチテストは、歯科医院や皮膚科で行っています(行っていない医院もありますので、あらかじめ確認してください)。
※食物が原因と考えられる場合、大人はアレルギー科、内科、お子さまは小児科での検査を受けてください。

●ニコチン性口内炎
愛煙家に多いとされるニコチン性口内炎は、舌に白い斑点がある、上顎に白っぽいシワができて厚くなり赤い斑点ができるという症状がみられます。ほかの口内炎ほど激しい痛みはありませんが、ピリピリとした刺激を感じることがあります。

煙草の煙が持つ熱が口腔粘膜を刺激するほか、熱によって口腔内が乾燥すると、殺菌作用や粘膜を保護する働きを持つ唾液の量が減少し、細菌が発生しやすくなります。また、飲酒と喫煙を同時に行うと、煙草に含まれている発がん性物質がアルコールに溶け出して口腔粘膜に影響を及ぼすとも言われています。

喫煙者の口腔がん発生率は非喫煙者の約7倍とも言われています。ニコチン性口内炎の最大の予防は禁煙しかありません。

危険な口腔粘膜疾患

●がん化の可能性がある白板症(はくばんしょう)
舌や頬の粘膜、歯肉の一部が白くなるもので、食べ物がしみる、歯ブラシが当たると痛いなどの症状があるため、口内炎と間違えることがあります。口内炎は約2週間で治癒しますが、白板症の場合は範囲が広がり、白い部分が厚く盛り上がって、びらん(粘膜の浅い欠損)や潰瘍、しこりがみられるようになります。びらん、潰瘍、しこりを伴う場合、初期の口腔がんの可能性があるため、組織を取って検査をする必要があります。

原因は、義歯の不適合、ガルバニー電流(歯に詰められた金属によって発生する口腔内電流)、ビタミンA・Bの不足、喫煙などで、歯科的治療、ビタミンの投与、禁煙などの治療を行います。びらん、潰瘍、しこりがある場合はがん化する可能性が高いため、切除する場合があります。

●がんになっている可能性が高い紅板症(こうばんしょう)
舌や歯ぐきなどの口腔粘膜の一部が鮮紅色になり、あきらかに周囲と色が違うのがわかります。食べ物や飲み物、歯ブラシが当たると刺激があり、50%ががん化する、もしくはすでにがんになっている可能性が高い疾患です。50歳以上の方が紅板症の80%を占めていますが、それ以下の年齢でも発症する可能性は十分にありますので油断できません。がん化の可能性がとても高いため、手術によって切除します。

2015年5月 1日

口腔内蛍光観察装置 VELscope®Vx(ベルスコープ)について

2015年4月 6日

口腔がん検診の種類

検査方法は、視診・触診、病理検査、画像診断の3つです。

視診・触診
口腔がんは、目で見て触れることができる部分に発症します。視診では、粘膜が白くなったり赤味を帯びたりしているところや潰瘍がないかを、触診では、指で触れてしこりや盛り上がっているところがないかなどを詳しく調べます。口腔がんの場合、首のリンパ節への転移の可能性があるため、頸部の触診も行います。

光による視診で病変組織を発見
蛍光観察装置は安全な観察方法です。色素剤などは不要で、特殊な光を照射することによって病変組織を発見することができます。患者さまに負担をかけることもありません。

病理検査
1.細胞診
視診・触診を行った結果、がんが疑われる部位の表面組織を綿棒でこすり取り、顕微鏡でがん細胞であるかどうかを調べ、がん細胞の種類、悪性度などの判定を行います。

2.組織診(生検)
より診断を確実にするために、麻酔をして異常がみられる部位を小さく切り取り、病理検査を行う(生検)場合もあります。

画像診断
●超音波検査(エコー検査)
プローブという装置を直接患部の表面に当て、超音波を体内の臓器に向けて発射し、反射してきた超音波を検出して映像化します。産婦人科で胎児の様子を診るときなどに使用しているものと同様です。口腔がんの検査では、頸部リンパ節の大きさや内部の状態、リンパ節への転移がないかを検査します。舌がんや頬粘膜がんが疑われる場合は、小型のプローブでがん病変の大きさや深さを調べます。

●X線撮影
歯科用の口内法撮影とパノラマX線撮影を行います。口内法はフィルムを口の中に入れ、一部の歯と歯周組織を撮影するのに対し、パノラマX線撮影は全体を撮影するもので、歯肉がんが骨に浸潤していないか、転移がないかを調べることができます。

●CT検査
X線を照射し、体内の断層像を3次元で確認することができます。口腔がんの検査では、コーンビーム方式という撮影法で、座った姿勢で照射ができるデンタルCTが多く用いられます。腫瘍の位置や大きさの確認、がんである場合はどのような治療法がよいか判断するときに役立ちます。

●MRI検査
体に電磁波をあて、電子が共鳴して放出したエネルギーをコンピューターで処理し、画像化します。骨や歯以外の軟組織の状態を細かく診断。口腔がんの検査では、腫瘍の大きさ、腫瘍と歯やあご骨との位置関係などを確認でき、がんの診断のほか、治療法を選択する際に使用します。

●アイソトープ検査
ごく微量のアイソトープ(放射性同位元素)を静脈内に注入し、がんが骨に浸潤しているかどうかを調べます。アイソトープは炎症やがんの転移などで骨の再生が活発になっている部分に集積する特性があり、これを利用して骨に口腔がんが転移していないかを調べることができます。

連携している大学・教授の紹介(ドクターの声)

大学病院との連携で口腔がん検診の信頼性を上げる

あなたは大丈夫?口腔内安全チェック

口腔がんは、文字どおりお口の中にできるがんです。ほかのがんと違い、自分の目で確かめることができるので、極めて早い段階で発見できる可能性があります。定期的に、お口の隅から隅まで気になる症状がないかチェックしましょう。一般的に、毎月一度と言われていますが、曜日を決めて週に一度行えば、なお効果的です。


口腔内安全チェックの手順
大きな鏡を明るい場所に置きます。十分な明るさであれば、洗面所でも構いません。見えにくい上顎、歯ぐきと頬の間などもしっかりチェックするために、デンタルミラーを使用しましょう。口腔内はデリケートですから、優しく行うようにしてください。
※入れ歯をしている場合は外してください。

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手順1.上下の唇の表面、内側をチェックします。

手順2.頬をデンタルミラーや指で横に引っ張り、気になる箇所が無ないかチェックします。

手順3.歯ぐきの状態をチェックします。見落としがないように、上下の歯ぐきを左から右、右から左へと細かく見ていきましょう。

手順4.上顎はデンタルミラーで前歯の方から奥へ、次は奥から前歯の方へ向かって、細かく横に動かしながらチェックすると見落としがありません。

手順5.舌の表面、側面、裏側、口腔底(舌の下)をチェックします。このとき、ガーゼやティッシュなどを使用して指で舌を動かすようにするとスムーズに行えます。
※舌で触れて違和感(しこりやブツブツしたものがあるなど)を覚える部分も、目で見て確認しましょう。

口腔内チェックを行ったときに次のような症状や状態が1つでもあれば、歯科医院で詳しい検査を受けてください。

□ 粘膜が赤や白に変色しているところがある
□ なかなか治らない口内炎がある、もしくは口内炎が何度もできている
□ 腫れていたり、潰瘍やただれを起こしたりしている
□ しこりのようなものがある
□ 詰め物や被せ物、虫歯がある箇所に傷や口内炎のようなものがある
□ 入れ歯が当たって傷になっているところがある

舌がんの切除手術

早期
がんが小さめで浅い場合は、舌の一部分のみ切除します。局所麻酔を行い、日帰りで済む場合がありますが、奥にできたときは全身麻酔での手術となります。術後数日は舌が腫れたり痛みを感じたりしますが、回復すれば、飲食や発声もこれまでどおりスムーズに行えます。

中期
がんが舌の中央辺りまで根を広げている場合、がんがある側の舌を半分切除してがんを取り除きます。欠損部は患者さんの皮膚を移植するなどして再建が可能です。術後1~2週間は口から食事を摂ることができないため、鼻からの流動食や点滴で栄養補給を行います。飲み込みにくい、発声しにくいなどの機能障害が残りますが、日常生活にほとんど支障はきたしません。

大幅切除
がんが舌の半分以上に広がってしまった場合は、舌の大部分を切除せざるを得ないケースがほとんどです。切除後の欠損部は皮膚移植などで再建することで、術前と比較し70%~80%程度の機能回復は見込めるでしょう。術後、縫合部が安定するまでは鼻からの流動食と点滴で栄養を補給します。その後、飲み込むためのリハビリを行いますが、流動食が摂れるようになるまで1~2か月以上かかる場合がほとんどです。術後しばらくは思うように舌が動かないため、綺麗な発音をすることが難しくコミュニケーションに苦労しますがリハビリを経て回復します。

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決して100%ではない口腔がん検診

口腔がん検診で異常なしだったからといって、油断は禁物です。「口内炎」「入れ歯が当たってできた傷が大きくなって潰瘍になったもの」などと診断されたものの、違和感が続いたり口内炎が治らなかったりといった状態が続き、改めて口腔外科を受診したところ、かなり口腔がんが進んでおり、手遅れになってしまったというケースも報告されています。

「異常なし」と診断されても「おかしいな」と感じたら、積極的にセカンドオピニオンを受けてください。それが、あなたの大切な命綱となる可能性があります。

※セカンドオピニオン 「第二の意見」という意味で、ある医師から下された診断や治療方針について、別の医師に意見を求めることを言います。

口腔がん検診・口腔健診

2015年4月 1日

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